最近まで、私は「自信」という言葉をひとつのものだと思っていました。

それはみんなが思う自信、、、「できる自信」です。

自信って、もしかしたら種類が違うものがあるんじゃないか。

それから、自分の過去や日々の出来事をゆっくり振り返ってみて、やっぱりそうなのかなと感じるようになりました。

 

ひとつ目の自信は、みんな知ってる「できる自信」です。

これは、何かに成功した経験や、人から褒められた記憶によって育まれるものです。

 

「私はプレゼンが得意。うまくできたことが何度もある」

「私はわりと可愛い方だと思う。そう言ってくれる人も多い」

「何回もやってきたし、できる自信がある」

こういった自信は、能力や実績、そして周囲からの評価に支えられています。

しっかりとした土台があるように見えるけれど、ときに失敗や否定的な意見によって、あっさり揺らいでしまうこともあります。

 

「前はうまくいったのに、今回は違った」

「あの人の方が優しくて、顔もかっこいい」

「他の人の方が上手くやってるかもしれない」

そんな風に、いつの間にか不安になる。それが、1つ目の「できる自信」の特徴なのかもしれません。

  

そしてもうひとつ、別の種類の自信。それは、「自分を知っている」ことから生まれる自信です。

 例えば私は、楽しそうなことを見つけたら、あまり深く考えずにとにかくやってみたくなります。

時には失敗することもあるけれど、「でも、やってみてよかった」と思えることの方が多い気がします。

この自信には、「うまくできる」という保証はありません。

評価されるかどうかもわかりません。ただ、「私はこういう人間なんだ」と、自分でわかっているということ。

 何となくですが「自分は最後までやり切るんだろうな」って。

 

でも自分を知れば知るほど、自信がなくなることがあります。むしろ最初は、そのように感じることの方が多いかもしれません。

なぜなら「自分を深く知る」ということは、長所や得意なことを見つけることではなく、見たくないところも直視することだからです。

・人と比べて劣って見える部分

・努力してもうまくいかなかった経験

・傷ついた過去、傷つけられた過去、逃げた自分

・実は、やりたくないと思っていること

そういった「弱さ」や「限界」も含めて、自分という人間の輪郭がはっきりしてくる。

すると、こう思うようになるかもしれません。

「自分って、大したことないかもしれない」「やっぱり周りの人のほうがすごい」「これではやれない、やりたくない」

そう感じるのは、とても自然なことだと思います。

その感覚は、本当の自分に向き合いはじめた証拠です。

 

期待、理想の自分ではなく、本当の自分と向き合いはじめたからこそ、そんな風に思えてくるのです。

ここからが大事です

本当の自信とは、誰かに勝てることではなく、自分に向き合えること、そしてそれでも一歩踏み出すことから生まれると思うのです。

例えば

「自分は不器用だけど、丁寧にやることはできる」

「失敗が怖い。でも、怖いと思えるくらい真剣なんだ」

「うまくいかない日もある。それでもまたやってみようと思っている」

こうした感覚は、「何ができるか」ではなく、「どんな自分でも、そのまま受け止めようとしているか」から生まれます。

それはとても強い自信です。

そして自分の弱さを知った人は強いと思うし、迷いながらも立ち止まらずにいる人はいい奴に見える。

 

「できる自信」は、たしかに大きな力になります。でも、「自分を知っている自信」は、もっと深くて揺らぎにくい気がします。

 

他人に認めてもらえなくても、自分の中にそっとあるみたいな感覚です。

自信を持ちたい。そう思ったとき、私たちはつい「もっと努力して、もっとできるようになろう」と考えてしまいがちです。

 でも、本当に大切なのは、自分自身と丁寧に向き合い、「私はこういう人間なんだ」と知ること。

 たとえ人と違っても、うまくいかない時があっても、それを受け止められる心の余白が自信になるのだと思います。

 「できる自信」と「自分を知っている自信」 どちらもとても大切なものだと感じております。

そして「私は自分に自信がない」と素直に言える人は、自分が気づいていないだけで「自分を知っている自信」を持ち始めているのかも知れません。