「作って、売る」── それが会社

世の中にある会社は、すべて「作って、売る」会社です。 形はさまざまでも、基本的な構造はすべて同じです。

企業には必ず「商品」や「サービス」や「仕組み」が存在します。

それらを誰かのために作り、誰かに届ける。就職するということは、そうした仕組みの一員になるということ。

働くということは何かをつくって、誰かに届けて、世の中の役に立ち、誰かを笑顔にすること」に他なりません。

この視点を持っているかどうかで、企業研究の意味も深さも、まったく変わってきます。

 

会社の中での仕事は、大きく分けて4つの役割に分類されます。

1.「売る」ことがメインの人

 営業、販売、接客など、「届ける」仕事の中心を担います。

2.「作る」ことがメインの人

 製品をつくる、サービスを企画する、仕組みを設計する。価値を生み出す仕事です。

3.「作って、売る」ことを担う人

 これは研修で丁寧にお伝えしたい部分です。

4.「支える」ことがメインの人

 人事、経理、システム、総務など、前線を支える後方支援の専門家たち。

これらの仕事に、上下や優劣はありません。どの役割も不可欠で、どれもが尊く、意味のある仕事です。

「売る人」も、ときには価値を生み出す視点が必要で、「作る人」も、ときには顧客の目線で届ける力が求められます。

この役割を越えて考える感覚も、今後の社会ではますます大切になります。ここも社員研修でお伝えしたい部分です。

会社とは、あなたの「目的を果たすための手段」を実行する場所です。これは、勉強とよく似ています。

勉強も、仕事も、どちらも目的ではないのです。

では、何のための手段なのか?

それは社会のため。人のため。そして、誰かの安心や笑顔を届けるため。

 

多くの企業理念には「社会への貢献」「人の役に立つ」という言葉が書かれています。

就職するというのは、そうした社会貢献のチームに加わることなのです。

会社が扱う「商品」は、目に見えるものだけではありません。たとえば、自動車メーカー。

車という「モノ」を作って売ることで、社会の「移動」という仕組みを支えています。

一方で、ホテルのように目に見えない価値を提供している会社もあります。

あるホテルの企業理念には、こうありました

「お客様の旅が思い出深いものになるように、滞在をサポートし、そこに付加価値をつける。」

このホテルが売っているのは、車や家具のような「モノ」ではなく、「安心してくつろげる空間」や「旅の記憶」

そのものです。

お客様一人ひとりの見えない価値をヒアリングし、共感し、最適な形で提供する

これも「作って届ける」仕事です。

だからこそ、会社を選ぶ前に、まずは自分に問いかけてみてほしいのです。

•自分は、何を作りたいのか?

•自分は、誰に届けたいのか?

•そして、なぜそれをやりたいと思うのか?

この問いを持つことで、「働くこと」がただの生活の手段ではなく、人生の中で意味のある時間へと変わっていきます。

最初の一歩は、自分の心の中に問いかけること。

自分は、誰の役に立ちたいんだろう?

どんな価値を、誰に届けたいんだろう?

そこが見えてくると、企業選びの景色が変わってきます。

働くことが、少しずつ楽しみになってくる。そんな実感を持ってほしいのです。

 

企業研究って、どう始めたらいいかわからないという声をよく聞きます。

でも私はこう思います。

*最初に、いや、ここだけでもいいくらい大切なのが「企業理念」です。

企業理念には、その会社が

「誰のために」「どんな価値を」「なぜ生み出しているのか」がすべて込められています。

つまりそれは、「この会社は、なぜ存在しているのか」という問いへの答えでもあります。

だから、最初のステップとして、いろんな会社の理念をざっと読んでみてください。

そしてもし、その中で少しでも心が動いた言葉に出会えたら、

その会社はもう、あなたの選択肢になっていいのです。

就活でたくさん情報を集めても、実際に入社してみなければわからないことは多くあります。

•どの部署に配属されるか

•どんな上司につくか

•取引先がどんな人か

同じ会社でも、部署によって環境はまったく違うということもあるでしょう。でも、企業理念は変わりません。

その理念を作った創業者や社長が今も会社にいるなら、なおさらその芯は強く残っています。

だから、まずは理念を見ること。「この会社、なんかいいな」「ちょっと共感できるな」

そんなふうに思えたら、それが出会いです。

その上で、ぜひ実際に会社を見に行ってみてください。

説明会でも、店舗でも、株主総会の受付でも、社員食堂でも構いません。

(最近の社員食堂は社員以外も食事をすることができます)

大切なのは、たった一つ。社員が、その理念をちゃんと体現しているかどうか。

それができていれば、その会社は本物です。

本物の会社は、行けば空気でわかります。

社員の表情、姿勢、話し方、動き、周囲への気配り。どれもが、その理念に裏打ちされている。

仮に、配属された先で「相性が合わない上司」に出会ったとしても、

「この人も、その理念に共感してここまで来たんだ」と思えれば、少しだけ余裕を持って向き合えるかもしれません。

企業研究とは、情報を集めることではなく、「本気で働きたいと思える場所」を見つけることです。

自分の人生の時間を、預ける場所。

自分の想いが、誰かの笑顔につながる場所。

そんな出会いがあってほしいと、私は心から願っています。

たまに転職、、、、まったく問題ありません。むしろ自然であると思います。